天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

宇宙を詠む(1/5)

深宇宙

 以下にとりあげた宮地伸一の歌はどれも、まともに天文学上の宇宙をとり上げている。物理学の対象として宇宙の時空間を考えると、未解決の疑問がたくさんあり、とりとめもない気分になってしまう。ホーキングのような理論物理学者は、宇宙は無(時空間がゼロ)から生じたとするが、要するに分らない、理解不能ということらしい。


  この大き宇宙を流るる時間のこと思ひ苦しみき少年の日に
                    宮地伸一
  わが命絶えなむはいつ絶えむとき消滅すべしこの大宇宙
                    宮地伸一
  枕辺の宇宙論と『奈良朝文法史』いづれを読まむこの明け方は
                    宮地伸一
  百億年過ぎたりといふ大宇宙その一瞬を生ける命か
                    宮地伸一
  宇宙万方の中に立つべき独りなり暫くはたつ杖もある
                    小暮政次
  「宇宙の魂に包まれてゐる」この楽観もまた学ぶべし
                    小暮政次
  宇宙の形態のことなど考へていとまある日のひと時たのし
                    清水房雄


[注]右上の画像は、web「ハッブル望遠鏡の「史上最高にカラフルな
   宇宙写真」」
   http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/07/amazing-shot-of-10000- 
   galaxies_n_5467142.html
   から借用した。