蕪村俳句と比喩―声喩(オノマトペ)
声喩(オノマトペ)は、物の音や様子をそのままに、擬音語・擬態語を使って表現する。
[擬音]物や動物が出す音を描写する。
ばらばらとあられ降(ふり)過(すぐ)る椿哉
出代や春さめざめと古葛籠(つづら)
雨ほろほろ曾我中村の田植哉
朝霧や杭打(くひぜうつ)音丁々(たうたう)たり
錦(にしき)する野にことこととかがし哉
遠近(をちこち)おちこちと打(うつ)きぬた哉
ぽきぽきとふたもと手折(たを)る黄ぎく哉
あなたうと茶もだぶだぶと十夜哉
地車(ぢぐるま)のとどろとひびくぼたんかな
[擬態]心情や状態を表す。
ひよろひよろとなをつゆけしやおとこへし
てらてらと石に日の照(てる)枯野かな
宿替(やどがへ)にすぽりとはまる火燵(こたつ)哉
沙(しや)弥(み)律師(りつし)ころりころりと衾哉
入道のよよとまゐりぬ納豆汁
春の海終日(ひねもす)のたりのたり哉