天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

友を詠む(5/7)

  たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき
                      橘 曙覧
  雨荒く降り来し夜更け酔い果てて寝んとす友よ明日あらば明日
                     佐佐木幸綱
  俺は帰るぞ俺の明日(あした)へ 黄金の疲れに眠る友よおやすみ
                     佐佐木幸綱
  友達として書きかはす手紙には空のこと海のことなどに触れずなりたり
                     石川不二子
*下句の理由が不明だが、悲しみの記憶を呼び起こすからであろうか。

  札幌の友より届きしスズランの小包にほへば妻に解かせぬ
                      戸塚 博
  見舞い来て水口(みなくち)の町に朝顔の苗もとめたり友はもう死ぬ
                      中野照子
*水口(みなくち)の町: 滋賀県甲賀市水口町。

f:id:amanokakeru:20200604064618j:plain

スズラン