天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

住のうたー家具・調度(4/5)

  カーテンを引かざる窓のただ暗く寒潮(さむじほ)の音も今夜(こよひ)きこえよ

                        柴生田稔

  カーテンに彩られゐし窓消えて二万人いま眠る孤立国

                        吉野昌夫

*作者は学徒出陣の経験があるが、その時の思い出なのか? 下句が具体的なようで実情が不明。

 

  春まだき朝(あした)引かるるカーテンの短き音はわが家にせり

                        上野久雄

  カーテンを持ち上げきれずに萎えていく夏風のこと恋しく思う 

                        小塩卓哉

  共に来て涼しげなる色選びをり二人の部屋につけるカーテン

                        神作光一

  カーテンに窓枠の影きざすなり夜の底にも朝は手を延ぶ

                        沢田英史

*「夜の底」とは、カーテンに鎖された明方の暗い部屋内を差すのだろう。

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カーテン