天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

仏を詠む(2/6)

 仏にはいくつかの種類がある。仏を分類すると、如来、菩薩、明王、天部、その他となる。仏に1位、2位、3位、と言うような上下関係はない。役割の違い。

如来(にょらい): 仏教の目標地点である悟りの境地に至った者

菩薩(ぼさつ): 悟りに至るために精進する者、それをサポートする者

明王(みょうおう): 激しく説き伏せることで悟りへの正しい道へ導こうとする仏

天部(てんぶ): インド古来の神が天と訳されて仏教に取入れられ,護法神となっ

         たもの。帝釈天、伎芸天、十二神将など。

 

  世の中の憂きこと知らぬみ仏もものさびしらに見ゆる秋かな

                      野村望東尼

  山寺の秋さびしらに仏たちただならびてもおはすばかりぞ

                       大隈言道

  すすけたる仏のかほもはなやかにうち見られけりうぐひすの声

                       橘 曙覧

  木のもとに臥(ふ)せる仏をうちかこみ象蛇どもの泣き居るところ

                       正岡子規

*仏涅槃図を詠んだもの。

 

  山高きみ寺のうちにあるほどは我もしばしの仏なりけり

                      佐佐木信綱

  さきだちて 僧 が ささぐる ともしびに くしき ほとけ の まゆ

   あらは なり              会津八一

 

  うすれ ゆく かべゑ の ほとけ もろとも に わが

  たま の を の たえぬとも よし   会津八一

 

  ちかづきて あふぎ みれども みほとけ の みそなはす

  とも あらぬ さびしさ         会津八一

会津八一は、奈良の仏教美術への関心が深く、仏教美術史研究をまとめた。

これにより文学博士の学位を受けている。

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薬師如来