天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

浜木綿

 ハマユウともいうが、ハマオモトが標準名。葉がオモトに似て、海浜に生えるところから命名された。ヒガンバナ科の大形多年草。[植物図鑑より]

 

     浜木綿や落ちて飼はるる鳶の雛      水原秋櫻子

     浜木綿や青水脈とほく沖へ伸ぶ       山口草堂

     浜木綿に流人の墓の小ささよ        篠原鳳作

     少女まづ脚みづみづし浜おもと       香西照雄

 

  み熊野の浦の浜木綿百重なす心は思(も)へど直(ただ)に逢はぬかも

                      万葉集・柿本人麿

  *「み熊野の浦の浜木綿」は「百重なす」の序詞。

 

  よる浪の音にのみ聞くみくま野の浦の浜ゆふ今日みつるかな

                         土岐筑波子

  潮滿つと波打つ磯のいらくさのしげきがなかにさける浜木綿

                          長塚 節

  *いらくさ: 山地の湿った場所でみられる高さ40~80cmの多年草
   全体にもろくて鋭い刺毛がはえ、触れると激痛を感じる。

 

浜木綿