天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三保の松原

三保の松原にて

 万葉の時代から知られた歌枕である。松原には、次の和歌が立て札になっている。


  盧原(いほはら)の清見の�啗の三保の浦のゆたけき見つつ
  物思ひもなし          万葉集・田口益人


  忘れめや山路打出て清見がたはるかに三保の浦の松原
                続古今集中務卿親王
  清見潟富士の煙や消えぬらむ月影磨く三保の浦浪
                  玉葉集・後鳥羽院


「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の名で世界文化遺産に登録された中に、三保の松原も含まれた。それで今回あらためて見に行った。小田原であわてて「ひかり」に乗ったら、名古屋までノンストップ。静岡まで引き返すはめになった。


     春風の三保の松原バスならぶ
     潮騒三保の松原おぼろ月


  静岡で降りるつもりが名古屋まで止まらぬ「ひかり」
  引き返したり


  雪嶺の富士をまぶしみ三月の風の冷たき三保の松原
  浜に出でて弓手に白き富士を見る三保の松原春の潮騒
  黒潮の騒げる浜に出で立ちて弥生真白き富士を眺むる