マラソンの最後の一人うつしたるあとの玻璃戸に冬田しずまる
寺山修司
アベベ走る群を抜きてひとり走るリズムに乗りて静かに速く
窪田空穂
翳りなきもののうつくしさ抜き切りしマラソンのをとめ真向(まとも)よりくる
真鍋美恵子
折り返すマラソン走者のおほきなる呼吸がわれの呼吸こえゆく
志垣澄幸
ニセアカシアのひた走りゆく長距離(マラソン)走者(ランナー)の緋色の背文字
滅びるなかれ 沖ななも
折返し地点をマラソン選手等が徒労の如く返り行くなり
浜田康敬
この街の海沿いの道をコースとし女子マラソンの走る日近し
俵谷晴子