天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

霜柱

河口湖天上山(かちかち山)にて

 冬の夜に湿った地面にできる細い氷の柱の集り。直径2ミリか3ミリで長さは数センチ。地中から毛管現象によってしみ出る水分が凍ってできる。赤土に最もできやすく、砂地や粘土にはできない。


  路の上に凝りてつづける霜ばしらわが行くままに
  くづれきらめく           窪田空穂


  六十歳のわが靴先にしろがねの霜柱散る凛々(りり)
  として散る             木俣 修


  霜柱子に教へつつ踏む道にやさしき雲の影が動けり
                    島田修二
  通夜に来し庭に無数の霜柱みな星影を宿してにほふ
                    富小路禎子
  石ころを音もたてずに押し上げてすっくと立ちし
  寒霜柱                水野昌雄


  霜柱白く鋭く育ちゆくけはひのなかにひとり醒めをり
                    杜沢光一郎
  霜柱鋭く育つあかときに吾子はきらりと宿りたるとや
                    佐佐木幸綱
  霜柱あはれこごしく無尽数に輝ると告げなむ人すでに
  なし                 西村 尚


  霜ばしらひといきに踏む感触もわがこどもらは
  はたして知るか            小池 光