天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

和楽器を詠むー鼓

  時(とき)守(もり)の打ち鳴(な)す鼓数(よ)み見れば時にはなりぬ会はなくも怪(あや)し

                    万葉集・作者未詳

  高尾寺あはれなりけるつとめかなやすらひ花と鼓うつなり

                          西行

  神遊びきけばほのけし追い鳥の声の風なす鼓打つなり

                       馬場あき子

  小鼓の胴は桜の蒔絵にてプホプホポポと打てば魚啼く

                       馬場あき子

  月にうつ大城の鼓しばしまてくだちゆく夜を誰かをしまぬ

                        加納諸平

  落ちてゐる鼓を雛に持たせては長きしづけさにゐる思ひせり

                       初井しづ枝