天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

和楽器を詠むー太鼓

 太鼓は奈良時代雅楽とともに渡来した。

 

  この寺の時の太鼓は磯の浪おきしだいにぞ打つといふなる

                       足利義輝

  小夜ふけて角の芝居の果太鼓かなしく水にひびき来るとき

                       吉井 勇

  祭屋台の傍(そひ)ゆくとき不意に楽高まりあはれ日本の笛・太鼓

                       田谷 鋭

  秋の夜のハリ戸を叩く冷雨冴え後(のち)シテをまつ野守の太鼓

                      馬場あき子

  日本の太鼓の醍醐味打ち響(とよ)む所作・見得・閑寂(しじま)うたぬことよき

                       岩田 正

  うつうつと性の太鼓のしのび打ち人生がもし祭りならば

                       岡井 隆

  太鼓うちつついつしかにうたれいる太鼓ぞわれはこの日も夜も

                       田井安曇

  笛太鼓背にし聞きつつ限りなくとほき別れのごとき思ひぞ

                       島田修二

 

太鼓