天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

和楽器を詠むー笛(3/3)

  よろめきて発動機船とほりたれやがてかぼそく汽笛ならすきこゆ

                         半田良平

  遠い春湖に沈みしみづからに祭りの笛を吹いて逢ひにゆく

                         斎藤 史

  美しく唇(くち)笛(ぶえ)を吹く少女とをり聖天(しょうてん)さまの甍昏れゆく

                         岡野弘彦

  はつはつの夏よりうすき夕焼けに鳴らす麦笛つくりてくれよ

                        馬場あき子

  生活に拙き父の傍にきて銀色の笛吹きつつあそぶ

                         大野誠

  浪費(むだづかひ)を知らざる母の買ひて来し小鳥の声がするといふ笛

                         吉野昌夫