天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

植物園

花菖蒲

       官公庁クールビズなる更衣
       靄はれてカッと射したる夏日かな
       花菖蒲松の木陰に水を飲む
       あやめ描く人と話せりカメラマン
       ことさらに油絵に描く白菖蒲
       スケッチに色をのせたり花しやうぶ
       睡蓮の葉裏つつくや熱帯魚
       薔薇園に退廃の色にほへりき


  朝露を帯びて散りゆく名のままにうなづきひめふようさみしき
  じりじりと首筋暑き温室に交配すすむブーゲンビリア
  晝なれば蕾のままにうなだるるニンフアエア・ルブラ夜咲きの性
  ニンフエアの名前妖しき睡蓮の芯かがやけり太陽の色
  年ふりて虚(うろ)抱へたる大木の鬱にかげれるどくだみの花
  退廃の色香みちたる薔薇園に思ひ悩めり国のゆく末
  フィリピンの熱帯雨林に咲きおもるメディニラ・マグニフィカ みだらなる花