天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

俳人は食通か

 飴山実全集のうち句集「次の花」を読み終えた。目に付いた作品は、いわゆるグルメ系である。全部はあげないが、鮎の句が多い。

       世のことを雪代山女焼きつつも
       貝汁の武蔵仕立や昼の酒
       雨休氷室の餅も届きたり
       北浦の海雲(もづく)酢にせん夏の始
       五橋てふ酒をたたへて鵜舟かな
       妖艶のうるかは成羽川の鮎
       干鮎も落葉のかをり朝の皿
       和泉酢にひたして紅葉もろこかな
       じぶ食へばたちまち加賀の雪景色

 いちいち解説するまでもなかろう。酒飲みにとってはなんともたまらない魅力がある。ちなみに、飴山実の愛弟子の長谷川櫂もこの傾向を持つ。そういえば芭蕉も、食通だったかどうかは不明だが、食べ物には大いに関心をもっていたらしい。いつか、この面から深堀りしてみたい。