天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

短歌人・横浜歌会

 午後から戸塚駅近くの横浜女性フォーラムで、定例の短歌人・横浜歌会がある。それまでの時間を茅ヶ崎経由宮山にいって、相模川縁の櫻を見る。花曇で寒く強風、夕方から雨がひどくなった。


     相模川ボートのりばの花見かな

  川下へ川鵜とび立つぬばたまの黒き羽毛が逆波をきり
  逆波の川面を駆けてとび立てり川鵜の向かふ寒川の堰
  とびきたり中洲に佇てるアオサギの身じろがざるを
  わが飽かず見る

 
  枯葦の川の中州をとびたちて啼くアオサギの声粗々し
  
 今日の歌会から、同じ作者の二首を取り上げよう。

  きらきらと冬より躍り出できたり千曲は桃花を映し流るる
  *このままでは、イメージがちぐはぐである。冬から躍り
   出てくる川とは、雪解け水で轟々と流れる川である。
   その川面は桃の花が映るような静謐なものではないはず。
   言葉の使い方で嘘くさくなる。上と下でそれぞれ別の歌が
   詠める、という意見が出たが、もっともである。


  寒闇へ無人改札出でゆけば星々の楽空に響りゐる
  *大変魅力的な情景である。だが、「寒闇」という言葉は
   ないだろう。寒き闇、といえばよい。「ば」もよくない。
   説明になるし音感上もきたなくなる。たとえば次のように
   言い換えてはどうか。
     寒き闇へ無人改札出でゆきぬ星々の楽響りゐる中へ