天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

勝龍寺城

忠興とガラシャ

 出張先は、京都の長岡京にある。今回初めて知ったのだが、勝龍寺の町は、細川ガラシャが住んだ場所であった。つまり夫の細川忠興の居城・勝龍寺城があった土地であり、近年発掘が進み、本丸が復元されている。小畑川の岸辺の道は桜と菜の花の盛りであった。



  その胸を家来に突かせ逝きにける細川ガラシャ城跡の花
  洗礼をうけし身なれど忠興の足手まとひと胸を突かしぬ
  百合もてるガラシャと夫の忠興の像のまなかひ花咲きほこる
  いにしへの戦は知らず川の辺に桜菜の花いまさかりなる
  発掘の本丸跡に佇めり細川ガラシャと忠興の像
  光秀の三女に生まれ玉といふおもかげ哀し勝龍寺城
  ひとときを夫とたづさへ憩ひけむさくら菜の花川の辺の道
  敗戦の父を送りし北門の復元なればかなしからずや
  信長の後家康につきしかば命ながらふガラシャの夫は
  生き延びて老いにし身にはつらかりき常若かりし妻の面影