鑑賞の方法
一昨日、〈読み〉が問われる、というテーマをあげたが、鑑賞の方法についてもう少し検討してみる。一応短歌作品に限るが、現代詩、俳句についても同様なアプローチが可能であろう。
(1)書かれている言葉の意味をたどって情緒を汲み取る。
頼朝は源太ヶ(げんたが)産衣(うぶぎ)の中にあり
さながらにして蕗の薹萌ゆ 小池 光
(2)表記(漢字、かな、記号、数字、空間など)から情緒を感じる。
にぎやかに釜飯の鶏ゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった
加藤治郎
(3)韻律をたのしむ。
錐・蠍・旱・雁・掏摸・檻・囮・森・橇・二人・鎖・
百合・塵 塚本邦雄
(4)以上の複合効果として鑑賞する。
春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外(と)の面(も)の
草に日の入る夕 北原白秋
聖母像ばかりならべてある美術館の出口につづく火藥庫
塚本邦雄
いちいちの鑑賞は長くなるので書かないが、言わんとするところは理解して頂けよう。