天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌の作法

 小島ゆかり著『高野公彦の歌』(雁書館)を読み終えた。高野公彦の履歴や嗜好、歌の作法などが垣間見えて大変面白かった。本名は日賀志康彦。高野公彦は、師の宮柊二がつけてくれた筆名。朝食にもうどんを食べるほどのうどん好き。酒は言わずもがな。
 高野公彦は、宮柊二の後を継ぐ北原白秋のいわば孫弟子にあたるが、他の白秋系歌人と比べて、最も白秋の精神と歌の作法を受け継いでいる感じがする。南国・愛媛出身であり、白秋の『雲母集』を最も愛し、その作法も白秋のたどった古典を踏まえるなど 作品から明らかである。
 小島ゆかりのこの本から、高野公彦の歌の作法を大雑把に要約すると次のようになる。

1.本歌取り・古典を踏まえる・引用句
2.喩  ①直喩 ②暗喩 ③薄明喩 ④空白喩
3.オノマトペ
4.造語・変形ルビ
5.俳句的世界
6.社会詠 
7.口語詠
8.地名・外国語
9.連作

 それぞれの例歌をあげるとわかりやすいが、本の内容と重複するので省略する。