百日紅
さるすべりが咲き始めた。その花期が百日ほども続くので、この名がついた。鎌倉では極楽寺境内の樹が立派で見栄えがある。数日前に訪れた座間・星谷寺の木も本堂の屋根を越える高さで、重々しく花をつけていた。
咲き満ちて鬱きはまりぬ百日紅
江ノ電の窓に追突油蝉
しんしんと蝉の声降る極楽寺
山門を共にくぐりぬ鬼やんま
御仏や乙女とふたり夏座敷
三尊の前にふたつの西瓜かな
亀あまた首だす池や蓮の花
蝉しぐれ三尊五祖の石庭も
パラソルも人もかげろふ由比ガ浜
鬱ふかき百日紅の木のもとにめくれて咲ける鬼百合の花
鬼百合の秘所にしゅるしゅる口伸ばし匂へる蜜を吸ふ黒揚羽
首伸ばし亀が見上ぐる水の上に蓮のつぼみははぢらひにけり