天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

虎杖

吾妻山にて

 イタドリと読む。広くアジアに分布するタデ科
多年草で薬草。利尿、通経、鎮咳などの効果あり。
ウドに似た若芽を食用にする。葉を煙草の代用にした
時期もある。古くは「たぢひ」「さいたづま」と
呼ばれていたという。


      虎杖の花月光につめたしや   山口青邨
      虎杖の花に天上天下かな    富安風生


  雨、雨、雨、虫くらひ葉の音繁きこの虎杖は露西亜領の花
                     北原白秋
  虎杖のわかきをひと夜塩に漬けてあくる朝食ふ熱き飯にそへ
                     若山牧水


 俳句では、「虎杖」といえば春の季語、「虎杖の花」といえば夏の季語 である。名前の由来であるが、表皮から糸状のものを採るので 「いとどり」と呼ばれ、しだいに「いたどり」になったという。「虎杖」は漢名。「虎」は若い芽にある紅紫色の斑点が、虎の皮のまだら模様に似ているところから。「杖」は茎のこと。間違いやすい植物に酸葉(スカンポ)や羊蹄(ギシギシ)がある。
 季節はずれだが、吾妻山で気付いたのでカメラに収めた。


      山頂に種播く人や赤とんぼ
      鉄砲宿はや彼岸花咲き出でし


  虎杖を好む虫あり葉を食みて木立に咳の鎮まるを待つ
  雨雲にまたく隠れし大山の鹿は鳴くらむまた雨降ると