天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

菊花展

寒川神社にて

 この時期、日本全国の神社や公園で菊花展が開かれる。新聞には、菊作り日本一が発表される。菊は中国原産で、わが国には奈良時代以降に渡来し、江戸時代に改良が進んだ。花の形状により管物、厚物、平物など、系統には嵯峨菊、伊勢菊、肥後菊、美濃菊、江戸菊、奥州菊などあり各地で園芸栽培が盛んであったことがわかる。


      菊の香やならには古き仏達     芭蕉

  久かたの雲のうへにて見る菊はあまつ星とぞあやまたれける
                       古今集藤原敏行
  にくむべき詩歌わすれむながつきを五黄の菊のわがこころ踰ゆ
                       塚本邦雄


 相模一ノ宮・寒川神社では、日曜日の七五三とあって盛装した子供や親たちで賑っていた。、門前には「寒川神社菊花展」の看板が立ててあり、神社を囲む回廊には、各種の菊がならべてあった。


      甑(こしき)五つふかせる傍に餅を搗く
      振袖がわたあめを買ふ七五三
      餅搗くや寒川神社の七五三
      鉄砲宿つつじの白き帰り花


  七本入り七百円の千歳飴七歳の子に売る一袋           
  厚走、厚物、だるま、福助とならべる菊の光重たき     
  大たこ焼き、わたあめ、七味とうがらし子の手をひきて
  寒川神社


  十一月十一日の七五三寒川神社に菊花ならべて
  寄り来る鴨のつがひが岸の辺に首を伸ばして草の葉を食む