天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

サーフボードの少女

由比ガ浜から

 三連休の鎌倉ともなれば、街中はとても歩けたものでない。人ごみをさけて由比ガ浜から材木座海岸を歩いた。



      小春日の潮風を嗅ぐ由比ガ浜


  楠の実のあまたちり敷く道の辺に鎌倉の世のもののふの墓
  朝の餌をとりてさはぐかかもめ鳥海面に下りてまた飛び立てる
  水を掻きサーフボードに腹這へる黒きウェットスーツの少女 
  朝の陽のわだなかに立つサーファの少女の髪はぬれて光れり
  片帆張るウィンドサーフィン御しがたくパサリと海に
  倒れけるかも


  烏きて浜辺の死魚をつひばめば黒き嘴濡れて光れり
  街川の細き流れの水を飲む浜辺に群るるハシブトガラス
  江ノ電の窓に吹き入る潮風のあたたかりけり小春日にして