天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蝋梅

鎌倉・円覚寺にて

 中国原産、ロウバイ科の落葉低木。わが国には江戸時代に渡来したらしい。芳香があり正月の生花としても珍重される。普通、芯にあたる部分が暗紫色だが、黄色のものを特に素心蝋梅という。


      臘梅に斎庭は雪を敷きにけり
                宮下翠舟
      臘梅や鋏の音に又こぼれ
                曽我部ゆかり


  しらじらと障子を透す冬の日や室(へや)に人なく臘梅の花
                      窪田空穂
  ほのぼのとうす黄緑に咲きそめぬ凍てつく土の古木臘梅
                      窪田章一郎
  紺青のさきはひは降りきたりけり臘梅の香の日差をゆけば
                      雨宮雅子
  臘梅はいささかの雪積みたれば雪の間より臘梅匂う
                      永田和宏