天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横浜ズ-ラシアにて

 哺乳類霊長目。南米、アジア、アフリカなど世界に約二百種が生息する。原猿類、メガネザル類、広鼻猿類、オナガザル類、類人猿類など。「ましら」「まし」という異称もある。
 猿の鳴き声は、古く漢詩でとりあげられた。中でも次の李白の詩は有名。


    早に白帝城を発す   李白

  朝に辞す 白帝 彩雲の間
  千里の江陵 一日にして還る
  両岸の猿声 啼いて尽きざるに
  軽舟巳に過ぐ 万重の山


これを受けて日本では俳句にも詠まれた。

       声かれて猿の歯白し峰の月   其角


  あな醜(みに)く賢(さか)しらをすと酒飲まぬ人をよく
  見れば猿にかも似る        万葉集大伴旅人
                  
  わびしらに猿な鳴きそ足引の山のかひある今日にやはあらぬ
                     凡河内躬恒
  山ふかみ苔の蓆のうへにゐて何心なく啼く猿かな
                     西行
  紐牽かれ道くる小猿つと手伸べ行きずる犬の尻尾を掴む
                     都筑省吾
  金網をとどろかし餌にはしり寄るいま人の如くありたる猿ら
                     田谷 鋭
  風すぐるざわめきに似て猿の群の林を移る母のふるさと
                     小谷 稔
  この森の猿ら相寄り土掘りて猿のなきがら葬むるといふ
                     青田伸夫
  霧状の雲吹きとほる山のうへに貌赤き猿飼はれゐにけり
                     高野公彦