天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

初秋の大山

大山の名水

 足腰を鍛えんと相模の大山にゆく。途中の下社までケーブルカーに乗り、二重滝、見晴台から稜線を日向薬師まで歩こうと意気込んだのだが、熊が出るので注意! と貼紙が出ていた。台風の過ぎた後で、落石も目立った。結局、下社から女坂を下って山を下りただけになった。

      女の坂に七不思議あり濃紫陽花
      をさな児のたぢろぐ花の時計草
      ごろた石大山川の蝉しぐれ
      朝顔のすだれなしたる苫屋かな

      
  祭礼の提灯さぐる軒下にすだれなしたる朝顔の花
  雨雲に隠れし山の頂を仰ぎ佇む大山下社
  名水を吐く龍の口泉には銅、ニッケルの硬貨がしづむ
  登山口の小さき祠に手を合はせのぼらむとする杖の老人
  のぼり来て秋気身にしむ大山の小暗き森に滝音をきく
  滝道の熊出没の貼紙に変更したり下山のルート
  電動のノコギリの音ひびかへる山の谷川秋ふかくする
  山下りるふたつの足のふくらはぎ凝り固まればイチロウを思ふ
  下山して湯に入る後の贅沢はこんにゃく豆腐きやらぶきに酌む