天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

かりん

鎌倉今泉・称名寺にて

 バラ科の落葉高木。原産は中国。古く日本へ伝来したらしいがはっきりした年代は不明。花が咲くのは3月から5月頃。熟した果実はトリテルペン化合物による芳香を発する。10月、11月に収穫。実には果糖、ビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、タンニン、アミグダリンなどが含まれ、炎症に効くということで、のど飴などに使われる。木材はきめがこまかく、高級家具になる。


  井の端に落つれば拾ふかりんの実数のたまるはうれしきものを   
                         岡 麓
  ゆふ庭にかりんのにほひ熟れゐたり君によりつつ然(し)か
  思ひたり                   中村憲吉  
                         
  かりんの実香に立ちてくる湖の辺の黄の色もぎてわれや少年
                         武川忠一
  何の木かと朝々電車に見てゐしが落葉して露はなり花梨の黄の実
                         宮脇瑞穂
  たまひたる花梨一果を掌に載せて濃密になりゆくこころ
                         高嶋健一