鎌倉湖のあたり
鎌倉今泉にある散在ガ池(通称・鎌倉湖)のあたりを歩く。ここもわが定番の散策ルート。山の農道の傍らに背の低い蜜柑の木が一本あって、実がいくつも熟れていた。称名寺の庭には、かりんの青い実が葉の散った木についていた。瀧の下り口には茶の花が咲き残っていた。
松籟は高みにありて笹子啼く
松籟の木の下蔭の笹子かな
音高く木の実おちたり森の朝
寺庭に犬吼えやまずかりんの実
地図ひろげ道路の脇に佇めり朝日に黒きビジネス・スーツ
山道に朝の日差せば充実のかぐのこのみはかがやきにけり
あたたかき日差好めるエゴ、サクラ、コナラ、クヌギは
陽樹なりけり
日の弱き森にも生うるクス、アオキ、シイ、クス、カシは
陰樹なりけり
音たかく木の実落ちたり朝影の森のそこひの散在ガ池
かりんの実ながめて立てる寺庭のわが身を責めて子犬吼えたり
高みには不動堂あり底ひには水音たかき陰陽之瀧
秋空にうすく煙のたちのぼるゴミ処理場の高き煙突
柿、バナナ ビニール袋に透けて見ゆ道をよぎれる老人の手に
吸殻を足にもみ消しあくびして若き女は電車に乗りぬ