天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉の季節

大雄山にて

 多分よく知られていることだが、辞書類を見ると、次のような解説がある。
「もみじ」は、万葉の上代には、「もみち」清音であった。濁音になったのは、平安時代以降である。漢字を当てる場合、万葉時代は「黄葉」、平安時代から「紅葉」が主流。
和歌について例を見ておく。


  経(たて)もなく緯(ぬき)も定めずをとめらが織れる黄葉
  (もみち)に霜な降りそね       万葉集大津皇子
                    
  大坂をわが越え来れば二上にもみち葉流る時雨ふりつつ
                    万葉集・作者未詳
  春日野に時雨ふる見ゆ明日よりは黄葉挿頭(かざ)さむ高円
  (たかまど)の山           万葉集・藤原八束
                    
  秋の月光さやけみもみぢ葉のおつる影さへ見えわたるかな
                    古今集・紀 貫之
  小倉山峰のもみぢば心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ
                    拾遺集藤原忠平
  山里の紅葉見にとや思ふらむ散り果ててこそとふべかりけれ
                   後拾遺集藤原公任