天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

東京拘置所

葛飾区小菅にて

 東京都葛飾区小菅1-35-1にある。死刑執行施設を有し、3,000名まで収容できる。1878年明治11年西南戦争捕虜収容の為、小菅監獄として設立された。巣鴨拘置所を併合し、1971年(昭和46年)小菅刑務所が東京拘置所となった。2010年1月5日現在、56人の死刑囚が収監されている。
 常磐線綾瀬駅から歩いてゆけるのだが、駅構内の案内板には書かれていない。現実をしっかり認識するためにも他の施設同様、明示しておくべきと思う。


     拘置所の壁に沿ふ堀春の鴨


  荒川を越えて車窓に近く見ゆマンション風の東京拘置所
  そのかみの御殿の跡に怪鳥のごとく息づく東京拘置所
  近づけばコンクリートの高き壁添ひて立ちたる冬の桜木
  拘置所を囲める塀に沿ひてゆく春来りなば桜咲く道
  塀に沿ひ道をたどれば行き止まり立入禁止の鉄柵はある
  どこまでが拘置所なるか次々に部屋数多きマンションの建つ
  面会の門閉ざされてしづもれり撮影禁止の注意書見ゆ
  映像に出でくる高き黒き塀見えがたければひとめぐりせり
  この内のいづこにかある処刑場足音聞けば肌へ泡立つ
  大臣がサインせざれば生き延びて更に書き足す自伝の荒野
  拘置所を写せる我は見られたり車椅子なる道の老婆に