天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

クサギの実

二宮町吾妻山にて

 急に寒くなって震えている。二宮町の吾妻山は、今の時期、秋の花も終りになり、さりとて紅葉にはまだ早く、なんとも中途半端な山の景色である。背高泡立草の黄の花が目立つくらい。林にクサギの実が藍色に熟し、星型の紅紫の額の中心に納まっているのが侘びしい。


     ゑのころや風ゆく方に尾を振れる
     咲き誇る背高泡立草の意志


  山門の下に並びてもの思ふ石仏のむれ枯葉ちりくる
  秋ふかみ葉をおとしたる梅の枝にあまた垂れたり朱の烏瓜
  梅の枝にからまり垂るる烏瓜朱の色艶もしぼみそめたる