天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藁ぼっち

横浜市東俣野町のたんぼにて

 藁塚のことである。肥料や飼料にする。にお、とも。冬の田んぼには、稲の刈株から青々とひこばえが生え、そこここに藁塚が立つ。薄暗い中では、人が立っているような錯覚に落ちることがある。


  おのづから藁塚の影むらさきに伊豆の涸田は冬日あまねし
                     吉野秀雄
  藁塚のにほひははたと思想こばむ分別もなく父母恋ひし
                     前川佐美雄
  藁にほが月のしたびにつくばへりこの一枚の山畑のよき
                     坪野哲久