東日本大震災わけても福島原発事故の尽きざる恐怖に怯えながらも、そこここの桜の花を廻って堪能した。見納めは、鎌倉源氏山の桜。戦乱の世にあって桜に魅入られた西行の心が少しわかった。
首塚の石に花ちる二、三片
花ちるも俊基朝臣墓所静か
うぐひすやこゑに似合はぬ地味な姿(なり)
俊基卿終焉之地の首塚に花ちりかかる葛原岡
うぐひすの声をたどれば葉の蔭にうごくものあり撮らへがたしも
見上ぐれば山桜花うぐひすの声したたれるかがやきの森
私にとってさくらの一首と言えば、つまるところ次の歌になる。
しきしまのやまと心を人とはば朝日ににほふ山さくらばな
本居宣長