天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

とくさ

鎌倉・円覚寺にて

 漢字では木賊を当てる。シダ類トクサ科。根は横にのびて地上の茎を養生する。縦に細かい縞があるのでものを磨くのに使われる。刈り取りは秋。


     風吹いて涼しき音の木賊かな  長谷川櫂


  とくさかるそのはら山の木の間よりみがきいでぬる
  秋の夜の月             源 仲正


  狭き庭大き石一つ埋もらして頭出さしむ木賊幾茎
                    窪田空穂


  木賊むら蜥蜴いかなるいとなみに生きて涼しき風
  渡るらむ             馬場あき子


  前(さき)の世にわが見しものを忘れねば黒の木賊
  ぎしぎしと立つ           安永蕗子