天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蝉の死

二宮町吾妻山にて

 地中で過ごす幼虫の期間は、7年あるいは種類によっては17年と長期間だが、地上に現れてからの成虫の寿命は、10日程度と短い。かしましく鳴いて生殖行動を終えたら、地面に落ちて蟻の餌になってしまう。死にきれず蟻にたかられて声を出している様は無惨である。


  ぽつんと落ちて蝉仰向けに死ににけり老木の下
  死にごこちよき          斎藤 史


  ひと夏を鳴き尽してや地に転(まろ)ぶ蝉を送れる
  風の葬送             雨宮 潔