天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水引草

横浜市舞岡公園にて

 金線草とも書く。タデ科多年草。花穂が進物用の「水引」に似ているところから名づけられた。


     水引のつやつやと立つ日陰かな  長谷川櫂


  稗草にをりふし紅くそよめくは水引草か交りたるらし
                    北原白秋
  わが二十町娘にてありし日のおもかげつくる水引の花
                    与謝野晶子
  草村にかがやくものは入り方の西日にてれる水引の花
                    土屋文明
  草の葉に風は吹かねどなよなよと紅ゆるる水引の花
                    土屋文明
  巻向の草のみづひき真夜中のたましひひとつ光りたるはや
                    山中智恵子
  なんといふやさしき鬼か月差せる水引草にくちづけをせり
                    前登志夫
  ブロック塀にはりついてゐた秋の日が庭の水引草に移りぬ
                    小島熱子


     水引の野辺路に出会ふ車椅子