天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ミヤコワスレ

鎌倉・長谷にて

 山地に自生する深山嫁菜の園芸品種。名前の由来は、承久の乱に敗れて佐渡に流された順徳天皇が、その地で咲いていたこの花に慰められ、都を忘れるほどだと言ったという伝説による。


     むらさきのはつきり都忘かな   後藤比奈夫
     喪に替ふる白衿都忘れ咲く   野見山ひふみ
     とほく灯のともりし都忘れかな   倉田紘文


  五月来ぬ都忘れの花咲きぬ何偲ばする薄むらさきは
                     筏井嘉一
  ミヤコワスレたちあがり咲くを壺にいけ妻おり妻は
  かなしと思う             坂田博義