天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雲海

NHKテレビ放映の画像から

 山頂や飛行機から見おろした雲の上面が海面のように見える情景。夜や早朝は表面が滑らかだが、日中は上昇気流のため荒く波立つ。


  雲海のはたてに浮ぶ焼岳の細き煙を空にしあぐる
                   窪田空穂
  忽然としら雲の上にわが身あり凝りて動かぬ広き雲海
                   窪田空穂
  光なき雲海は昼に近からん一つ遙かに蒼冴ゆる山
                   高安国世
  離陸して忽ち雲の上に出づ輝きわたる白き雲の海
                   大悟法 進
  山群にものの響きの絶え果てて雲海のうえ星月夜冴ゆ
                   高橋光義
  雲海をぬきて現れし御来光駒草の露かがやき初めつ
                   桐 初音
  越えきたる不帰嶮(かへらずのけん)をふりむけり
   何もなくして雲海の波      山田悦子