山頂や飛行機から見おろした雲の上面が海面のように見える情景。夜や早朝は表面が滑らかだが、日中は上昇気流のため荒く波立つ。
雲海のはたてに浮ぶ焼岳の細き煙を空にしあぐる
窪田空穂
忽然としら雲の上にわが身あり凝りて動かぬ広き雲海
窪田空穂
光なき雲海は昼に近からん一つ遙かに蒼冴ゆる山
高安国世
離陸して忽ち雲の上に出づ輝きわたる白き雲の海
大悟法 進
山群にものの響きの絶え果てて雲海のうえ星月夜冴ゆ
高橋光義
雲海をぬきて現れし御来光駒草の露かがやき初めつ
桐 初音
越えきたる不帰嶮(かへらずのけん)をふりむけり
何もなくして雲海の波 山田悦子