天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

曼珠沙華

藤沢市新林公園にて

 彼岸花のことだが、7種くらいのさまざまな呼び名がある。以前にこのブログ(2011年10月15日)で取り上げたので省略。以下には、以前にはあげなかった作品を紹介する。花の色には、赤以外に白、黄色などあり。
[追伸]白や黄色の彼岸花は、シナヒガンバナショウキズイセンの自然交雑種あるいは園芸種で、厳密には彼岸花の近縁種。


     曼珠沙華暗き太陽あるごとし    阿部みどり女
     曼珠沙華抱くほどとれど母恋し    中村汀女
     曼珠沙華落暉も蘂をひろげけり    中村草田男
     つきぬけて天上の紺曼珠沙華     山口誓子


  ふる雪に光りふるひゐるまんじゆしやげそれはあそびに遠き
  ひとむら                  森岡貞香


  血を噴くがに一面揺るる彼岸花 一揆は常にならざりしまま
                        山本 司
  彼岸花むらがり咲けり母逝きてひそけき家となりはてにけり
                        杜沢光一郎
  曼珠沙華忽然と生れて消えてゆくわが日常はみじろがざれば
                        辰巳泰子
  弾くとも包むとも見え曼珠沙華が虚空に挙ぐる緋の細き指
                        大下一真