天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イノコズチ

二宮町吾妻山にて

 ヒユ科多年草。ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチの2種類がある。季語になっているのは、後者。ただ「いのこ」は「猪の子」のことであり、草丈が猪の膝の高さとみたところから名付けられたという。牛の膝の高さなら、漢字表記の牛膝と適合するのだが。日本と中国とで、猪と牛の違いがでたか。なんともややこしい。



     ゐのこづちひとのししむらにもすがる   山口誓子
     背にとめて何のあかしのゐのこづち    加藤楸邨
     珠拾ひさせられし子にゐのこづち    榎並美代子
     ゐのこづち淋しきときは歩くなり    西嶋あさ子


  ゐのこづち払ひあへざり幼子と日なた頒ちし記憶に野あり
                      雨宮雅子
  牛膝つけて走りし男の子たるを身体髪膚にとどめず
                      小中英之