天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水木

横浜市東俣野の林にて

 ミズキ科の落葉高木。日当りの好い山地、沢沿いの湿性地によく見られる。春に枝を切ると樹液が水のように滴るところからの命名。10月、11月に黒い実をつける。材は柔らかく色が白いので、コケシや独楽などの木工品に使われる。


  月くらき瑞樹のかげにそよそよとよれば衣につめたき
  大理石像                金子薫園


  ミヅキの花かげショパンきいてゐる、五月の夕翳窓いっぱい
  に青い                 前田夕暮


  枝ごとに吹かれゐる水木の白き花ひとつの谷をへだてて見ゆる
                      遠山光
  小綬鶏(こじゆけい)のいざなふ聞けば心ゆらぐ桜は過ぎて
  今みづきの花              三国玲子


  青春はみづきの下をかよふ風あるいは遠い線路のかがやき
                      高野公彦