天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

林檎(りんご)

わが食卓より

 バラ科の落葉高木。中央アジア原産。五月に紅暈のある白い五弁花が咲く。青林檎は夏に、赤林檎は秋に実る。品種は多い。今日食用に栽培されているものは、明治になって米国などから導入されたものの子孫。青森と長野が二大生産地。
過去のブログで取り上げていない作品をいくつかあげる。


     刃を入るる隙なく林檎紅潮す    野沢節子
     岩木嶺やどこに立ちても林檎の香  加藤憲
     制服に林檎を磨き飽かぬかな    林 桂


  わが側に人ゐるならねどゐるやうに一つのリンゴ卓の上におく
                      片山広子
  林檎かみぬ十月の朝庭の木の風鳴るをきき柱によりて
                      前田夕暮
  おつべくして落つるりんごは地に落ちよみなぎる秋のひかり熱もつ
                      五島美代子
  店頭の赤き林檎の頬をつと指につつきて幼子ゆけり
                      石田比呂志
  昇天の成りしばかりの謐(しず)けさに梯子の立ちている林檎園
                      永田和宏
  受験期の不安を言ひしこともなし眼鏡をかけて林檎むきゐる
                      河野裕子