キャベツ(1)
カンラン、タマナとも言う。アブラナ科の一、二年草でヨーロッパが原産。品種が多く、球の形には、丸形、尖形、扁球形など、また色には白色、濃緑色、赤紫色など、数百種あるという。栽培法には、春まき、夏まき、秋まきに大別される。愛知、群馬、千葉などが主産地である。
波止場にて船に積まるる甘藍の青みづみづしふれあひて鳴る
中西輝麿
玉キャベツ真二つに切り四つに切りきざみ翼のなきわれの日々
大塚陽子
ぐんぐんと大きくなりてひび割れしこのキャベツこそ
身のほど知らず 大塚陽子
ダ=ヴィンチの今に残せる腑分けの図 春のキャベツは
葉脈繊(ほそ)し 塩原早智
さびしさが私をどうにかしてしまふ青空の下キャベツを下げて
河野裕子
よく噛めば甘くなるものキャベツは芯のところが薫る
高瀬一誌
葉を巻きて堅くしまりし春キャベツ手触れば己が力に弾ぜる
朝日敏子