天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風邪を詠む(1)

わが身辺から

 例年のように2月がインフルエンザの最盛期である。テレビのニュースで連日、患者が倍増していることを報道している。私は毎年十月末頃に予防注射をしているので、今のところひどい状態にはならない。医学的に言えば、インフルエンザは疾患・疾病名であり、風邪は症状名であり、概念が異なるらしいが、まあ一般人にはどうでもよい。


  老い妻は一つの願ひをくりかへす風邪ひくな君皹(ひび)
  きらすまじ我も             窪田空穂


  風邪を病む子のため炊(た)きしかゆの香は朝の厨にとど
  こほりたり               清宮紀子


  風邪ひきてわれの臥しいる七階に八階を踏む足音聞こゆ
                      五所美子
  晴天は果てなき磁界 風邪ひきのぐゎんと重い頭支える
                      松平盟子
  風邪ひけば母がかならずとりくれし鍋焼うどん今日の昼餉
  (ひるげ)に               滝沢博夫