天の川(1)
東アジアの神話では夜空の光の帯を、川と見ている。一方、ギリシャ神話では、これを乳と見ている。それが継承され英語圏でもミルキーウェイと言うようになった。
夕月夜影立ち寄り合ひ天の川漕ぐ舟人を見るが羨(とも)しさ
万葉集・遣新羅使人
ちはやぶる神も見まさば立ちさわぎ天の戸川のひぐち
あけたまへ 小野小町
わが上に露ぞおくなる天の川とわたる舟のかいの雫か
古今集・よみ人しらず
あまの川とほきわたりにあらねども君が舟出は年にこそ待て
柿本人麻呂
天の川夜空のなかにまさやかに明るむ雲の心地こそすれ
島木赤彦
きみとみるこの夜の秋の天の川いのちのたけをさらに
ふかめゆく 山田あき
天の川しらしら流れ地球昏(くら)し宇宙の律ぞいずべに
傾(かし)ぐ 山田あき