天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

竹の歌(1)

近所の竹林

  竹はイネ科タケ亜科のうち多年生のものの総称である。十二属十五種ある。小さいものは笹という。字は竹の葉の象形。音読みはチク(漢音、呉音)、シツ(唐音)、訓読みは、たけ。また、日本最古の物語文学である竹取物語で主題とされているように古くから日本人のそばにあったことがわかる。万葉集では25首(長歌:8首、短歌:17首)に詠まれている。


  梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも
                万葉集・阿氏奥島
  我が宿のい笹群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも
                万葉集大伴家持
  木にもあらず草にもあらぬ竹のよのはしに我身は成ぬ
  べらなり         古今集・高津内親王


  よにふれば言の葉のしげき呉竹のうきふしごとに鴬ぞなく
               古今集・よみ人しらず
  時雨ふる音はすれ共くれ竹のなどよとともに色はかはらぬ
               新古今集中納言兼輔
  窓ちかきいさゝ群竹風吹けば秋におどろく夏の夜の夢
              新古今集・春宮太夫公継