石を詠んだ歌を取りあげているが、では砂の歌はどうか。調べてみるとかなり多い。石と同様、身近にあるので当然か。
真砂(まさご)は砂の歌語。すなご、いさごも同じ。「沙(まさご)」は細砂とも書き、こまかい砂をさす。「浜の真砂」の形でよく詠まれた。
八百日(やほか)行く浜の沙(まさご)もわが恋にあにまさらじか
沖つ島守 万葉集・笠 女郎
わたつ海の浜の真砂(まさご)を数へつつ君が千歳のあり数にせむ
古今集・よみ人しらず
すにをればいさごの色にまがふ鳥手にとるばかりなれにけるかな
凡河内躬恒
波のまに砂子(すなこ)ふみこみ鳴くたづは君に千歳をゆづる
べらなり 古今和歌六帖・紀 貫之
頬(ほ)につたふ
なみだのごはず
一握の砂を示しし人を忘れず 石川啄木