天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

砂の歌(1)

神社の境内にて

 石を詠んだ歌を取りあげているが、では砂の歌はどうか。調べてみるとかなり多い。石と同様、身近にあるので当然か。
真砂(まさご)は砂の歌語。すなご、いさごも同じ。「沙(まさご)」は細砂とも書き、こまかい砂をさす。「浜の真砂」の形でよく詠まれた。


  八百日(やほか)行く浜の沙(まさご)もわが恋にあにまさらじか
  沖つ島守              万葉集・笠 女郎


  わたつ海の浜の真砂(まさご)を数へつつ君が千歳のあり数にせむ
                  古今集・よみ人しらず
  すにをればいさごの色にまがふ鳥手にとるばかりなれにけるかな
                       凡河内躬恒
  波のまに砂子(すなこ)ふみこみ鳴くたづは君に千歳をゆづる
  べらなり           古今和歌六帖・紀 貫之


  頬(ほ)につたふ
  なみだのごはず
  一握の砂を示しし人を忘れず         石川啄木