天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

砂の歌(2)

細砂の例

 砂は粒径が2〜1/16mm (62.5μm) の石の粒子を指す。大きくは、粗砂(2〜0.2mm)と細砂(0.2〜0.02mm)に分ける。細分類では、名称のみをあげると、極粗粒砂、粗粒砂、中粒砂、細粒砂、極細粒砂 となる。


  砂の上の文字は浪が消しゆきぬこのかなしみは誰か消すらむ
                    吉井 勇
  いのちなき砂のかなしさよさらさらと握れば指のあひだより落つ
                    石川啄木
  帰り来てひとりし悲し灯のもとに着物をとけば砂こぼれけり
                    土田耕平
  鰯網裾かぜかろくふきたちてしろたへの砂をこぼしつつをり
                    坪野哲久
  幕いでて遊牧民(ベトウイン)いのれそのこえの砂にしずめば
  きこゆることなき          香川 進


  黒砂にものうき歩みかへすとき脅(おび)やかされて生きのびゆかむ
                    大野誠
  こなごなに舞ひ立つ赫(あか)き砂みえて冬は光も乾きつつあり
                    中村純一