麦飯(むぎめし)は、大麦のみ、または大麦と米を混ぜて炊き、飯としたもの。
つつがなく帰れる吾の飯(いひ)食ふを父は火燵(こたつ)に
見てゐたまへり 藤沢古実
顔も手も飯粒(めしつぶ)まみれに食ふさまやこの子は勁(つよ)
く生ひたたしめむ 筏井嘉一
黄に濁る河水(かすゐ)にかしぐ飯(いひ)はみてつつがはなしと
互(かたみ)に書くも 宮 柊二
めし粒をこぼしつつ食ふこの幼(をさな)貧の心をやがて知るべし
長澤一作
白飯の上に香にたつ紫蘇の実を置きて悲しむ頼むもの無し
石田比呂志
握り飯を食いつつ見ている一滴の水に写れる世界のかぎり
佐佐木幸綱