天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

盆(3)

おがらーwebから

 芋殻(をから)は、皮をはいだ麻の茎で、盂蘭盆の門火をたくときなどに用いる。俳句では秋の季語。
 玄関先でおがらを燃やしご先祖が道に迷わないように明るくする。その火で提灯のろうそくに火をつけて、家に迎え入れる。


     子をつれて夜風のさやぐ芋殻買ふ   大野林火


  亡き父よけふの芋殻(をから)の燃えぬにも障りはなしや
  冥土(よみ)のくにべに          太田水穂


  招(を)ぎまつるままに来たらせ母刀自や末の子通(つう)が
  住みてゐる家              窪田空穂


  迎へ火に焚きのこしたる藁の上幼なこほろぎ出て遊びをり
                      村野次郎
  母の霊いづべの家に守るべき軒べ軒べにをがら火匂ふ
                      松倉米吉
  迎火たくとかがみゐつつも水うちし庭のしめりの身に
  心地よき                松田常憲


  迎へ火の煙なづさふ槻の木に寝鳥みじろぐ声こそすなれ
                      木俣 修
  迎え盆の提灯を膝の上に置く妻は火を守る車の中に
                      毛利文平