天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

月見

俣野別邸庭園にて

 陰暦八月十五日(十五夜中秋の名月)と九月十三日(十三夜、後の月)の月を観賞すること。月を愛でる習慣は、日本では縄文時代頃からあるらしい。名月の日に月を鑑賞する風習の始まりは、唐代の頃からという。


     けふの今宵寝る時もなき月見哉    芭蕉
     岩はなやここにもひとり月の客    去来
     月見舟きせるを落す浅瀬かな     蕪村
     舟べりに頬杖ついて月見かな   山口青邨


  秋の夜の月見にいでて夜はふけぬ我もありあけのいらであかさん
                 後拾遺集・大弐高遠
  さやかなる影にてしるし秋の月十夜(とよ)にあまれる五日なりけり
                    山家集西行
  十五夜の月は生絹(きぎぬ)の被衣(かつぎ)して男をみなの寝し国をゆく
                      若山牧水
  午後十時つたはりてくる音もなき吾家の空の十五夜の月
                      半田良平
  夜々盈(み)ちて九月十三夜に近づける月のひかりはいよいよ冴えたり
                      半田良平


なお、満月を不吉として忌む風潮が西洋にも日本にもあった。